アルミ缶の上にたくみかん

アルミ缶の上にたくみかん

日本百名山を中心に単独登山やドライブなどを書いた日記です。

2018年1月1日 初日の出は八ヶ岳山頂から

空気の澄んだ空、◯◯ブルーといわれるほどに濃い空を何回も観てきた。
その空に瞬く星たちも観てきた。

それが当たり前と思っていたけど、やっぱり年の始めを観てみたい。
頂に立つ度に、何事もなく下山する度にそう思っていた。

思ったらやるしかない、今すぐに

そんな行動ポリシーを掲げて突っ走って来た。
後悔先に立たず。やらないで後悔よりやって後悔の方が絶対良い。

それを今年も続けよう。

とうことで2018年は元旦からシーズンの幕開けだ。

車中での仮眠と年明け

31日の20時に八ヶ岳山荘前駐車場に到着した。
到着した頃は曇りでGPVで観ても八ヶ岳上空は紫色に染まっている。
標高1300m付近から道路は雪だ。
大晦日だというのにこの時間では一度も観たこと無い数の車が泊まっていた。
案外、山好きというのは山での年明けがビッグイベントなのかもしれない。
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深夜0時を回ると数人が外に出ていて新年を祝福していた。
自分にとっては毎年恒例のぼっちニューイヤーである。
そんな楽しげな雰囲気を横目に午前1時。 アタック開始した。
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南沢から行者小屋を目指す

出発する頃にはまだ雲が流れていたものの月もときより顔を出していた。
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山荘のイルミネーションが寒さを醸し出す中、
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午前1時、2018年の幕開けである。
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手元のスントでは外気温は氷点下5℃。
普段は砂利道のこの始まりの道も凍っている。
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今回の目的は登頂ではない。初日の出を山頂から拝むことだ。
それにはスピードよりも登頂のタイミング、つまりはペース配分が鍵をにぎる。
とはいえ、地味に上り勾配が各小屋まで続く八ヶ岳のルートで
最初からペースを整えるのは逆に日の出時間を過ぎるリスクがある。
ということで行者小屋までは爆速登山をすることにした。
だがこのスタイルが後々今回の山行を辛いものにさせる。

南沢ルート

八ヶ岳主峰:赤岳に向かう最短ルートである。
八ヶ岳は美濃戸中山という山を挟んで南北2つのルートがある。
特に南沢ルートは川を何度も渡るルートで個人的には登るのはきついが、
だんだん開けてくる視界、そして向かいに赤岳がドーンと出てくるのが好きだ。

幸いにもつけたばかりの先行者のトレースがあるのでこれを追うことにした。

ペースが速いと汗をかく。そしてその汗が標高とともに冷えてきてとても寒い。
最初の河原に出たときはすでに手袋をしている指先が痛くなり、足の指先の感覚はない。
服は、アンダーアーマーの長袖インナーに、アシックスの冬物ウィンドブレーカー、その上に
モンベルのソフトシェルを着ている。だが汗が冷えてくると腕の間にかいた汗が急激に
冷やされて非常に冷たい。このまま山頂に登れるのか不安がよぎる。

夜間は暗すぎて写真写りが悪いので帰りに撮った写真である。
夏には脱水症状を救われた小川もこの通り、カチンこちんに凍っている。
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山行前に雪がちらついていたこともあり、道は真っ白だ。
本州中ほどにあるせいか、パウダースノーとなっていて、
とくにアイゼンは必要ない。

標高が2000mを超えてくると樹氷も目立つようになってきた。
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そんな寒さと闘いながら1時間29分後、午前2時半に行者小屋に到着した。

行者小屋前での待機

YAMAPの標準タイムを確認すると行者小屋から地蔵尾根の分岐点までは1時間30、そこから山頂までは40分
とある。
この日の日の出は6時46分だったので、標準タイムで進んでも1時間半以上は山頂で待たなければならない。
すでに行者小屋から赤岳上空の風の叫び声が聞こえてくる状態なので、ふつうに登っただけでは
遭難者になりかねない。

まずは冷え切った体を温めようと積もった雪を溶かしてお湯をわかし、うどんを食べることにした。
結果的にうどんは食べられたのだが、風よけがないために沸騰まで時間がかかりっぱなしで
けっこうなガスを消費したと思う。やはり風よけは買ったほうが良さそうだ。
この待ち時間を使って昨年買ってザックに入れっぱなしにしていたホッカイロを取り出し、
服のポケットに突っ込む。

ちなみに行者小屋はテントが結構立っていた。
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こんなテントがあれば寒さに気を遣わずにアタックできたのかもしれない。
そんな自分のスタイルに後悔をしつつも、結局50分くらいその場にとどまり、
動き始めた。

地獄の地蔵尾根

午前4時頃、赤岳天望荘を目指し地蔵尾根に取り付く。
ここの難関は分岐点にほど近いところにある急勾配だ。
昨年11月というまだ積雪が少ない時期に登ったときでさえも
結構慎重に行った記憶がある。
なにより足より短いステップが、滑り落ちるような傾きでつけられているのだから
滑落しないかが1番心配なところである。

人間のトレースは全くないが、幸いなことになんと動物のトレースがこのルートを
難関箇所の部分まで続いていて道迷いすることはなかった。
感謝している。

さすがに標高は2400mを越しているので樹氷もまた見事である。
また、下山時の写真を載せておこう。
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とにかくここのルートで気をつけたことは標準タイムよりいかに遅く登り、かつ、体温を
上げていくかである。
ゆっくり登るとはいっても下からも登山者が来ているのでそれなりのペースを保たないといけない。
ただ遅くなるほど体温を上げられないのでネックウォーマーをつかい、呼吸しづらくした。

それでも手の指先は痛くなり、なんどかポケットハンドしながら登っていた。

難関箇所を抜けるとその先は分岐点だが、もろに雪がぶつかるばしょになるので
ラッセルが必要となった。その深さは2~30cm。
平地に比べればなんともない深さだが傾斜のある場所でパウダースノーだと
なかなかアイゼンが噛まず進みにくい。その上、冬用の登山靴ではないので
つま先の感覚がだんだんと鈍くなる。

それでもなんとか登り、地蔵尾根の分岐点に到着した。

目指す山頂。諦めと希望の夜明け

分岐点に着くと東側の地上がナトリウム灯に照らされているのがわかる。
寒い中の灯火はたとえ人工物であっても安らぐ。
ただ稜線だけあって風は強くより寒さが増していた。

昨年11月に登ったときは赤岳天望荘は冬季閉鎖中だった気がしたが、
この日は明かりがついていた。
年越し用にあけているのかもしれない。
10分でも良いから、玄関でも良いから入れて欲しいと思ったほどここは寒かった。

例によって下山時の写真である。
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エビの尻尾の大きさがこの場所での風の強さと寒さを物語っている。

歩みをすすめるごとに足の感覚がなくなっていることに気づく。
足首から下が曲がらないし、指先を曲げようと思っても
曲がろうとしているのは伝われど動けないのである。
やむなく重心をつま先から土踏まずに変えて赤岳最後の急勾配へと向かう。

一歩、また一歩、足が雪にめり込む度に下山しようかと思う。
山頂目前にして登頂を諦めるのは客観的に見ればもったいないとこれまではよく思った。
だが当の本人になってみてわかったのはとにかく「早く降りたい」これだけだった。
そのためなら山頂がすぐそこにあっても下りる方を優先してしまう。

でも奇跡は起こるものだ。
東の空をみると夜明けが始まっていた。
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ガスが取り巻いていてすぐに隠れてしまったがこの色彩を一瞬でも
見られたことに山頂までのアタックを決めた。

そして初日の出

山頂までの急勾配は強風と寒さの闘いで時間がかかった。
いや、夜明けが早いのか。
山荘を目前にしてデジカメが効くようになってきた。
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この時点で低温下のためiPhoneは電源が落ちている。

手元の時計で時刻は6時40分。ちょうど良いタイミングで登頂できた。
気温は氷点下15℃。体感温度は更に低いだろう。
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痙攣を起こしている脚と腕を抑えつつ、カメラを構える。
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登頂したころには既に3人の登頂者がいた。
中岳との稜線に出る文三郎から来たようだ。

そこには南沢で頼りにしたトレースをつけ、行者小屋でお互い
別れた人もいて「お疲れ様です」と声をかけあう。

撮影時には気づかなかったもののよく見れば他の登山者も顔面が凍っている。
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そして私も。
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結局このネックウォーマーは駐車場で着替えるまで凍りついていた。

そして6時48分ごろ、ガスの奥に太陽が昇ってきた。
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この瞬間、登頂した誰もが無意識に感嘆をあげる。
当たり前だ、このために夜通し登ってきたのだから。

ガスが太陽の紅い光を反射し、それはそれは幻想的に見える。
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そして、念願の富士山とのコラボ
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初日の出フライトと同じアングルだろうか?笑

あっちも苦労して取ったチケットだからみんな嬉しいだろう。
こっちも苦労して登った場所だから嬉しい。

こんな無形物に感動している自分は本当に歳を取ったのだなと感じる。

ちなみに間近でみるモルゲンロートはすごかったの一言である。
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凍てつく中岳へのルート。
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朝日に浮かび上がる赤岳山荘
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すぐにガスに飲まれるため、晴れる度にシャッターを押す。
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指が動かずシャッターを押すのも一苦労だ。

そして下山する。

下山

赤岳を後にした瞬間にまたガスに飲み込まれてしまった。
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登ってくる登山者を待ちつつ少しずつ標高を下げていく。
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富士山チラリズム
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高度を下げると視界がひらけていく。
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赤岳へと続く稜線。
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分岐点に着くといつも北アルプスを見つめていたお地蔵さんがいた。
さすがに凍てついている。
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分岐点直下の鎖場は傾斜がきつい
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よくこんな道をラッセルしながら登ってきたものだと我ながら感心する。
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改めて木々も凍らせる自然の脅威に脱帽だ。
帽子を脱いだらそれこそ死んでしまうけれど。
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更に標高を落とすと行者小屋が見えてくる。
深夜よりだいぶ晴れてきたようだ。
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そして行者小屋に到着した。
クリスマスツリーにぴったりな木々がそこらじゅうにある。
雪をかぶっていると映えるものだ。
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だんだんと指先の感覚が戻ってくるが、足の指を曲げようとすると曲がりにくい。
水ぶくれしているのかと思ったがそうではないらしい。
そんな足を引きずって、 やっと戻ってきた。
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長かった山行であった。そして登って良かったと思える山行であった。
八ヶ岳山荘に駐車場代を支払い、コーヒーをごちそうになる。

そのまま帰路につく。
登った山を帰り際にみると優雅な気分になる。
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交通費節約と時間が短縮されるかを検証するために、
一宮御坂で降り、246から帰る予定だったが、
御殿場についたころにニュースにもなっていた車の横転事故で東名が封鎖。
VICSにもない大渋滞の246を諦め箱根から帰ることにした。
だが、箱根も結局渋滞により家に着いたのは15時過ぎだった。
ただ、河口湖方面から帰ると晴れた日には超デカイ富士山が見えるので
とても好きだ。
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しかも今回は富士吉田ルートの下山道が見えた。
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これを書いている1月3日も両手両足の指先の感覚はない。
どうやら低温やけどになったようである。

冬山はどうしても寒さ対策が苦手であり課題となる。
昨日はモンベルでバラクラバとインナーソール、ソックスを買って
寒さ対策を考えたがこれも実地試験しないとダメというのが雪国でない地元の欠点である。

一方で手に関しては巷で好評のテムレスにしようと思っている。

こんな感じで波乱万丈な年越しだったが今年も無事故で日本百名山を攻略していきたいと思う。