アルミ缶の上にたくみかん

アルミ缶の上にたくみかん

日本百名山を中心に単独登山やドライブなどを書いた日記です。

TJARの王者交代を見てきた

立山で応援したTJAR。

早くも1週間が経ち、トップの選手がここ静岡県大浜海岸に帰ってくるというので見てきた。

行くと決めたのは午後21時のことである。

相変わらず衝動的に動く私。

 

今回は絶対王者の望月さんが究極体とも言える無補給(予め用意した食料と湧き水)に挑戦した。

必然的に優勝争いから外れ誰が王者になってもおかしくない大会となった。

 

選手の居場所はGPSでトラッキングすることができる。抜かし抜かされまた抜かしが繰り広げられる中、ゴールの2日前に2位と大きく引き離し優勝がほぼ確定した。

 

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歯を食いしばり痛みさえ押し殺す中走っている選手とは対照的に南から吹く秋風が

GREAT ENDURANCE

と書かれた旗をなびかせる。

この街灯もないこじんまりとした海岸を目指して1週間という時間を掛けながら412km、富士山7往復分の高低差を駆け抜ける選ばれし30人の勇者たち。

 

日本屈指のランナーさえも挫折を味わう日本一過酷なレースがいよいよフィナーレを迎えようとしている。

 

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深夜一時にも関わらず王者交代の瞬間を見ようとここ大浜海岸には既に100人以上が集まっていた。

 

みなスマホを片手に今か今かと一位の選手の"帰還"を待ちわびている。

 

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タイムを読み上げる審判がスタンバイした。

 

そして大勢のギャラリーに囲まれながら力強く光るヘッドライトが暗い海岸を照らし始める。

垣内選手の登場だ。

 

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深夜という時間を考慮しながらも大きな拍手が波のようにゴールまで伝わる。

同時に「おかえり」という最期の声援が行き来する。

 

そしてゴール。

6日と1時間2分、古くから信仰の対象とされてきた日本屈指の峰々を己の脚で歩んできた人間が新しい歴史に名を刻んだ。

そして太平洋にドボン。

日本海から走ってきたTJAR選手の伝統芸だ。

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神に最も近い存在といえるその人の名は垣内康介選手。

身体の準備含めて10年間この大会への参加を待ち望んだ。

それも圧倒的1位でだ。

 

私を含めこの場にいた誰もが目を滲ませ、鳥肌を立てたことだろう。

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ここまでの疲れと喜びが顔に出ている。

 

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こんなアスリート体型でも物凄い年月を費やした。自然のすごさを感じさせられる。

 

一般ブログのため写真の掲載は控えるがこのあとご家族が横に並んだ。

奥様、長男、長女だ。

深夜にも関わらず一家の主人の帰還を待っていた。その他にはTJARと書かれた手作りのうちわがある。

お金もかかる、練習で家庭もなかなか見られない。そんな環境では家族の応援があってこそ出場できる。垣内選手だけではない。今回、このTJARに出ているほとんどの選手は普段はどこにでもいるごく普通のお父さんであり旦那さんだ。

「一人でゴールしたわけではない、ここにいる家族と一緒にゴールした」そんなことを垣内選手は言っていた。

もしかしたら命が危険にさらされるかもしれないこのレース。家族を支える立場にある選手がTJARに出ることは決して簡単なことではない。

もしものときを奥さんは考えるし、しばらく家に居ない父を見て子供たちは不安になるだろう。

それでも夢を叶えさせたいという気持ちがビブスに袖を通すことを許し、無事に帰ってきて欲しいという祈りが太平洋まで足を進めさせた。

 

家族だけではない。少しずつメジャーになってきたこのレースは登山者や地元の人々から熱い声援を受ける。

みんな登山の辛さを知っている、自然の過酷さを知っている。そんな声援は選手をやる気にさせたことだろう。

みんなが一丸となってというのは正にこういうことだと思った。

 

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体力も体型もまだまだ及ばないがいつか自分も出て完走したい。

それは山好きの自分にとって最上級のものであるから。

今大会は少なくとも自分の中で山に対する考え方を変えさせた。これからも無事故で日本百名山を制覇したいと思う。

 

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この大会に参加した全ての選手を尊敬しています。

お疲れ様でした。